黒い絨毯に満遍なく散らばる星屑。
冬の透き通った空気は、夜空と星々の美しさをより物語らせる。
夜のネオンから離れたこの地では、それもまた一際だ。






色彩豊かではあるが、どこか無機質な都会を象徴する街のネオン。
色とりどりな雰囲気は、まさに現代的な様相を示す。
白、赤、ピンク、青、黄、橙、紫…様々な色彩は街を明るく見せ、そして活気あふれるような感覚を覚える。






しかし、それは“熱さ”はあっても“温かみ”はない。






無機質そのもの。






しかし、ここはそんな都会の様相も殆ど見られない静かな地。
昼は、子供達の無邪気な遊び声が響き渡る。
空は澄み、緑に溢れ…“自然”がここにはある。






わずかにヒトの手が加わり、ヒトの文化が立ち入っているのは否めないコトではあるが…。
しかし夜ともなれば、わずかに家々の小さな明かりがあるくらいで静かなものだ。
見上げれば、金平糖を散らしたかのような満面の星空が今でも見える。






そして今日もまた、そんな星空をその大きな漆黒の瞳に映しながら、かごめはここへ帰ってきた。

【St.Valentine's day】
ニ、大切なこの地、大切なあの地
都会から離れたこの地。
生まれた地。
かごめにとって安らぎの地。
どんなに嫌な事があっても、“ここ”に帰ってきた。






―――――“ここ”はなぜか…ひどく安心するから…






生まれた地だから。

そして、生まれる前からも…知っていた“地”だから。






自宅の神社の高く長い石階段を一気に駆け上がり、息も絶え絶えに玄関へと駆け込んだ。






「ただいまっ!」






母の“おかえり”の声を聞く時間さえも惜しむように、かごめは階段をあがり、部屋の扉を勢いよく開いた。






「…えっと…っ…」






乱れた呼吸を整えながら、勉強机に目をやった。
そこには、光沢を持った桃色の包装紙に包まれた“チョコレート”。






寒さにかじかんだ震える手で、そのチョコを取った。
直ぐ傍らの小型の手提げの紙袋にそっと入れると、それを胸に抱えて部屋を飛び出した。






(…早くっ…しなきゃ!)






バタバタバタッ――――――






もう夜中だというのに、激しい音をたてながら階段を下るかごめの足が不意に止まった。






―――――それは温かい気配






―――――生まれた時から感じてきた優しい気配だった






「…かごめ。」
「ママ…」






肩にカーディガンを羽織った母の姿…。
母は、顔や耳…そして微かに震えるかごめの手を見るなり、手に持っていたものを差し出した。






「ほら、寒いからこれも持って行きなさい。」






そう言って手渡されたのは、出しなに置いていった真っ白な手袋だった。
母が、編んでくれた手編みの手袋。
今、己の首にしている白いマフラーと一緒に作ってくれた。
現代のような暖房設備など無い戦国時代へと旅立つ娘にと、用意してくれた物であった。






「いってらっしゃい、かごめ。」






かごめが手渡した手袋をはめるのを見届けると、開口一番にこう言ったのだった。
何も聞かず、ただ一言。






いつもの優しい笑顔で―――――。






夕暮れに戦国に行って、数刻もしないうちに突然帰ってきたかごめ。
どこか様子のおかしい娘に、直ぐに気づいたもののそっと様子を見守っていた母もまた再び笑顔で送ってくれた。
かごめはそんな自分の大切な人たちの優しさと温かさを改めて知り、嬉しさで涙が零れそうなのをぐっと我慢した。
そして目を瞑り、ひとつ大きく深呼吸をすると瞳を大きく開いた。






「いってきます!ママ!」






夕刻の暗く沈みきった娘はもういない。
そこにはいつもの明るい優しい笑顔をした娘がいる。
母はそう思いながら、温かい笑顔で頷いたのだった。


















*




















ガタッ――――――。






神社の奥の古井戸に通じる小屋の戸を開き、ゆっくりと井戸に手をかけた。
井戸に腰掛け、左手の時計を見ると、時刻はPM11:28。
“今日”という日が終わるまであと30分。






もう、時間がない…






胸の小さな紙袋をしっかり抱いて、かごめは暗い井戸の底へと飛び込んだ。
無数の光のある、歪んだ不思議な空間を越えながらかごめは、数刻前のコトを思い出していた。






―――――あいつが“バレンタイン”知らないのなんて……当たり前なのに。











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【St.Valentine's day】

早いうちにUPします!
…と言っておいてこのザマです。
ごめんなさい!ごめんなさい!!ごめんなさい!!!ごめんなさい!!!!ごめんなさい!!!!!
以下無限…。

予想以上の忙しさにあっぷあっぷでした。。。
そして、本日怪我しました。。。
ついでに風邪もひきました。。。
PCの外付けハードもいかれました。。。





ザ★厄日!!!





…“マ〜ヌ〜ケ〜”
と言ってやって下さい!


更新日時 H17.2.28 Mon.1:24

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