それはココでは何てこともない出来事









人間には慣れというものがある









カンタンに言うならば、それと同等の意味だ









そう、これは何てこともない出来事




















〜似非紳士と天然少女シリーズ〜

【最早それは珍しくも何ともなく】





















「やぁ、最上さん」
「つ、敦賀さん!?おはようございます!それでは、これにて失礼します」









そそくさと逃げよう………もとい、立ち去ろうとするキョーコの肩に大きな手をにゅっと伸ばす。









「そんなにさっさと逃げようとしなくても、別に俺は君を取って食ったりはしないよ?」
「に、逃げようなんてしてないですよっ!ただ、ちょっとばかり所用が……」

「ふーん。どんな用事?それって今すぐ?さっさと行かないとならないくらい急用?」
「いや、まぁ……ソレは、ですね……その………」









明らかに嘘と分かるその様子を、さも楽しそうに見つめる蓮。









「君が用事があると言うなら、手短に済ませるね」
「へ?何です?」









手短に済ませるというその言葉に、キョーコの顔が煌く。
これには諸々の事情があったのだが、その元凶たる眼前の男にとっては、少女のこのあまりにもあからさまな態度が面白いはずもなく、常とは比較にならないほど明るすぎる素敵な笑顔を浮かべる。
もちろん笑顔の裏の感情を寸分の狂いもなく的確に捉えたキョーコは、そのあまりの恐怖に顔を引き攣らせた。









「俺、今日は早あがりなんだ」
「め、珍しいですね、敦賀さんが早あがりだなんて」

「まぁね。最上さんは?何時あがり?」
「えっと……順調に行けば18時にはあがりますが………なぜそんな事を……」









ここでようやくキョーコは、馬鹿正直に答えた自分を愚かしく思った。
こんな超絶スマイルを浮かべている目の前の男が、意味もなく自分の予定を尋ねるはずはないのだから、と。









「18時か。俺は19時すぎくらいかな」
「そ、そう、ですか。それは良いことで……では、私これで失礼……」









危険な空気を察知したキョーコは、一秒でも早くこの場から立ち去ろうとしたのだが、何分事態を把握するのが遅すぎた。
背を向ける隙すら与えず、蓮はキョーコの腕を取る。
蓮は、華麗なエスコートで引き寄せたキョーコの手にカードをさり気なく持たせた。









「はい。コレよろしくね」
「は?何ですコレは?」

「…………鍵」
「何の、です?」

「…………俺の部屋」









何となく見覚えはあったような気がしたのよ、とキョーコは内心ゴチたのだが、すぐに我に返り、目をこれでもかという位に見開いた。









「な、なんで!?鍵なんて!?」
「仕事あがったらウチに行ってて貰える?まぁココで待っててもいいけど」

「行っててって私がですかっ!?」
「終わったら携帯に連絡するから」

「って、人の話聞いています!?」
「それじゃ、よろしくね」









全く話を聞いていないだろう蓮は、にっこりといつもの笑顔を浮かべ、ようやくキョーコの腕を開放した。









「だから、何で私がっ!?一体何のマネですか!?」
「ただのデートのお誘い」

「は?……デ…ート?」
「食事して、どこか景色のいい所にでも行こうね」

「け、……景色?」









それって美味しいんですか?と馬鹿な思考に至る自分の頭を思いっきり振り、キョーコはついていけない事態にしどろもどろになるが、対する蓮は飄々としており、言うだけ言うとくるっと半身を向け、手を振りながら「それじゃ、また後でね」と言い、爽やかにフェードアウトしていった。









「あぁ゛〜〜〜〜〜〜〜〜っ!またこの展開!?どうしていつも回避できないのよ!私は!」









どうやら以前にもこんな事が在ったらしい。
キョーコは手に持たされたカードキーを見つめながら、事務所の隅から隅まで響くだろう絶叫をあげる。
その悲痛な声はあらゆる人間の耳に轟くのだが、誰もそれに驚くことはない。









“あぁ、またやってるよ、あの二人”









とあちこちから溜息の音が響くだけ。
既にこのLMEでは珍しくも何ともないコトなのだ。









真面目な少女は、尊敬する先輩からの言いつけをしっかり守り、一足先に先輩宅にお邪魔すると、頼まれてもいない食事を作り、帰りをただじっと待っているのだった。





























To Be Contined...?





















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【あとがき】




【似非紳士と天然少女】シリーズ


新たにはじめましたw


えっとこのシリーズは連載というほど続いた話ではなく、
似たような雰囲気(蓮さんに翻弄されるキョーコちゃんv)で
基本的に1話完結……というか1話で読めるものを何話も作っていく
という趣旨ではじめたいと思います!


何故に急にはじめたかというと、
(1)単純に突発的に書きたくなった
(2)久遠の翼の蓮さんがあまりにヘタ蓮(笑)なので↓
(3)そろそろヘタ蓮を返上させる為に“最強紳士”を書いて慣らしておこうと(笑)
(4)原作よりも性格が捻じ曲がった蓮さんと気の強いキョーコちゃんを書きたかった
(5)ライトなノリでバシバシ書きたかった
などなど………


とにかく不定期に更新する予定です。
長編の合間や短編の一環としてできればと思います。
あー…シリーズ名はこんなんですが、特にあんまり意味はないかもしれません(笑)





作成 2008/04/20
更新 2008/05/01 23:23



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