もう二度と恋なんかしないと決めた







誰かを一生懸命に思ったら






いつか報われると信じてた






誰かを愛したら






自分も愛されると信じてた






もう二度と恋なんかしないと決めた







なのに






今、逢いたいのは







あたたかな温もりと優しい匂いを持つ






あのヒト







逢いたい





携帯電話を開いて、リダイヤル履歴を見る。




「うーん。」




表示されたのは、あのヒトの番号。
一番最後に連絡したのは、丁度一週間前。





顔を合わせたのは、やっぱり一週間前。
事務所でたまたま鉢合わせした。




「特に相談事があるワケでもないんだけど…」






“何かあったら…どんな用事でもいいから、いつでも連絡しておいで?”






まだ新人の自分を気にかけてくれる優しい先輩であり、私の憧れの俳優。





それがあのヒト。




出逢いこそ最悪だったけど、今は本当に心から尊敬している。
役者としても、人間としても。




時折、怒らせてしまうこともある。
全く心当たりがないときは、どうしたらいいか分からなくなる。





でも、せっかく培ったあのヒトの信頼を絶対に失いたくない。

いつか、あのヒトと同じ舞台に立って、対等な演技をしたい。





それが私の目標。





でも、“相手役”だけはやりたくない。





だって、あのヒトは本気にさせるって言うじゃない。






“相手があのヒトを怖がる役なら、本気で怖がらせる”






“相手があのヒトに惚れる役なら、本気で惚れさせる”






そんなの困るから。





私は二度と“恋はしない”と決めた。




私の大事なお守りに





あのヒトは魔法をかけた。




最高に眩しい魔法を




それを受け取ったら、私は何か悪い魔法にかかる…そんな予感がしてた。




それがどんなものかもわかっている。

だからこそ、誰にもその魔法の効果は見せない。




絶対に見せない。




だけど…




なんで逢いたいと思うんだろう?





この感覚は何?






どんなに怖いことも





あのヒトがいるだけで、安心できる





勇気が湧く




大丈夫だと信じられる





本当に不思議な魔法




あのヒトの腕の中は




とても温かくて




優しくて




いい匂いがして




すごく気持ちがよかった




それは事実




でも…




それを認めるワケにはいかない。




だけど、否定する自分とそうじゃない自分がいて…




何がなんだか分からなくなる。





「ちゃんと食事摂ってるのかしら?」




仕事に対する姿勢とはまるで正反対の食生活。
社さんの話だと、一人にすると食を摂ることさえ忘れると言う。





実際に、何を食べたか聞いたときは、どうしてくれようかと思ったくらいだ。

“なんとかインゼリー”とか“カロリーなんとか”とか…





ほんとに洒落になってない。




「日ごろのお礼も兼ねて、何か作ろうかしら?」




毎回毎回、何かある度に相談に乗ってくれるあのヒト。
ものすごく忙しいだろうに…




「この一週間は忙しいって言ってたから、きっとロクなものを食べてないはず…」




どうしているのだろう?




「さっき、今日なら時間があるって社さんが教えてくれたし!」




元気だろうか?




たかが一週間だというのに




なんだか心配…




また辛い顔はしてないだろうか?




何か困ってはいないだろうか?




私にできることは?




「よし!」




携帯のリダイヤル履歴に表示された番号を押す。








数回のコール後に、聞きなれた優しい声が聞こえてきた。







「もしもし、最上です。」




『最上さん?どうした?』







この感覚が何なのかは分からないけど







ただ顔が見たいと思った







私にできることをしたいと思った







だから









「敦賀さん。今日、時間ありますか?」











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【あとがき】


キョーコ視点で書いてみました。



原作のイメージを重視しているので、
蓮キョ派の方には物足りない仕様かと思います。
作品全部を原作イメージでは書きませんが、
とりあえずはじめなので、こんな感じで・・・



同時に蓮side&尚sideも書きました。
でも、キョーコが一番難しかった(笑)



作成 2007/11/12
更新 2007/11/17

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