天から舞い降りる雪のようにはらはらと散る桜









漆黒のキャンパスに映える薄桃色は









絶えることなく舞い落ちる









そんな春のとある夜のお話





























【ひらり、ひらりと】











〜 Scene.1 ラブミー部のふたり 〜






























満開の桜の花はそのピークを迎え、ゆるやかな春の夜風に撫でられて、はらはらと舞い散りはじめていた。
漆黒の天に浮かぶ白月の光が、舞い散るその花弁を照らし反射させている様は、まるで春雪のような無垢な煌きを放っていた。









そんな夜桜を楽しむ数多の人間。
立派すぎる豪邸を持つ、その業界でも名高いとある事務所の社長が別邸として所有しているこの場所には、年に一度このような集いが開かれる。









簡単な話が“お花見”。
忙しすぎる人間達に、わずか数刻の癒しと安らぎと楽しみを与える今宵。
日々の忙しなさも何もかもを忘れても許される時間が、今確かにここにあった。









ただし、“とある部”に所属する二名を除いては。









「最上く〜〜〜ん!こっちにも酒追加してくれ〜〜〜!!」
「京子ちゃん!こっちは皿と箸が足りない!」
「琴南さん!君はこっちのものを運んでくれ!」
「こっちも追加をくれ〜〜〜〜!!!」

「「は〜〜〜いぃ〜〜〜〜〜!!!」」









あっちこっちから呼ばれるその声にうんざりしつつも、キョーコと奏江は手を止めることなく、次々と頼まれる“用事”を確実にこなしていく。









「はぁ〜〜〜〜〜。未来の大女優がどうしてこんな雑用ばかり……」









と大きすぎる溜息をつくのはもちろん奏江。
女性には少しばかり重い酒樽を持ちながら、てくてくと目的の宴会場所を目指す。









「まぁまぁ、モー子さん!これもラブミー部のお仕事なんだから!」
「アンタ……呆れるくらい元気ねぇ……雑用ばかりだっていうのに……」









ただでさえ疲れる雑用ばかり押し付けられ、げんなりしている奏江とは対象的に、今も元気いっぱいに笑顔を振りまいているのはキョーコだった。









「私は身体動かしているの好きだし。だるま屋のバイトでこういう席は慣れているから」
「あぁ、そういえばそうね」









奏江は自分の裏のバイトでうっかり入った店でキョーコが働いていた件を思い出し、少しだけ苦い笑いを零したが、すぐに納得したように頷いた。









「それにしてもモー子さん。すごい人の数よね……一体何人いるのかしら?っていうか、LMEじゃないヒトもいるんじゃない?コレって」
「確かに……」









広大な敷地内にそびえる桜並木の元には、数人で構成されたグループがそこかしことあり、各々桜を楽しんで……いや、正確には宴を楽しんでいるようだった。
キョーコは前後左右を見渡すと、当初この宴がはじまった時刻よりも人間の数が増えていることに気がついたようで、隣の奏江もキョーコに倣うように視線を左右に向けてそれを確かめると、先程よりも深くて重い溜息を大きく吐いた。









開演したのは午後七時。
現在の時刻は午後九時半過ぎなので、かれこれ二時間半以上経っているためか、大人連中はかなり“デキあがっている”ようだった。









「う〜〜〜ん。そろそろ頃合かも……」
「は?何が?」









キョーコの呟きに即座に反応を見せる奏江だが、そのセリフが一体何を指しているのか皆目分からないといった色を浮かべていた。
そんな奏江の疑問に答えることなく、キョーコはくるり振り返ると握りこぶしを作った。









「モー子さん!気をつけてね!」
「あ、うん。……って、だから何が?」









奏江は投げられた言葉に首を傾げつつも思わず頷いてしまい、それを見たキョーコはにっこりと明るい笑顔を零しながら「私がついているから大丈夫!心配しないで!」と胸をドンと叩いた。










結局奏江は、キョーコの言葉の意味は分からないままだったのだが、それもこの後すぐに知ることになるのだった。









































NEXT→ Scene.2 とある少年



















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【あとがき】




現在拍手にて連載中のSSですv
連載するなら過去のモノはどこかに展示しないとな……
と思って、これまでの拍手SSと共に公開することにしました!


そんなに長い連載にはならない……と言うよりも一話が短いので、
そこまでボリューム的にはないでしょう!
でも、中編くらいにはカテゴライズされるのかな……


しかし、蓮キョ+オールと銘打っておいて、蓮キョが出てない。
でも、蓮キョは必ず出ます!その話はもう書いているし!
出なきゃ、私がつまらない!だから出ます!





作成 2008/03/29
更新 2008/03/30



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