【ひらり、ひらりと】










〜 Scene.5 DARKMOON and AKATOKI 〜



























今宵の宴に集まったのは、LME関係者だけではなかった。
その証拠にここには、まだ到着していないLMEの看板俳優と雑用に勤しんでいる新人女優が出演している、DARKMOONの関係者が一同に会していた。









「本当に見事な桜ですよね」









感慨深そうに呟いたのは、主演である百瀬逸美だった。









「本当ね。こんな良い場所をお持ちなんて、さすがはLMEの宝田社長ね」









そう答えたのは操役の大原。
その隣には、母親役である飯塚が立派な桜を見つめながら二人の意見に賛同するように頷いた。
向かい側には、監督である緒方と準レギュラーの貴島が並んでいた。
その周囲にはスタッフ関係者が幾人もおり、各々に宴を楽しんでいるようだった。









「さ、緒方監督。どうぞ」
「あ、いえ僕は……」









貴島は酒瓶を緒方に向けながら、緒方の為に用意されている透明なカップに注ごうとするが、緒方はそれを否と唱えつつも貴島の押しに押されたのか、カップに半分を酒を注がれた。









「だめよ、啓文。飲みすぎちゃ」









困ったような顔を浮かべていた緒方は、突然背後から声をかけられ、ハッとしたように振り返る。









「は、春樹!?どうして君が……」









緒方の背後からカツカツと聞こえてきそうな高いヒールを履いた麻生春樹が現れた。
春らしい爽やかな服を身に包みながらも、溢れ出る色気は並大抵ではなかったのだが、昔馴染みである緒方はそれを全く感じないのか、慣れてしまっているのか、どちらかと言うと、突然現れた事に驚いているようだった。









「どうしてって、宝田社長からのお誘いよ。お花見をするから是非立ち寄るといい、ってね」
「そっか。びっくりしたよ。まさか春樹が現れるなんて思ってなかったから」
「あら、失礼ね」









麻生は言葉とは裏腹にくすくすと笑いながら、自然に緒方の隣に座り込んだ。
緒方の隣にいたはずの貴島は、春樹の姿を見るなり笑顔で席を譲ったのだ。









「ところで春樹、君一人なの?」
「まさか。ちゃんと連れもいるわよ。連れてきていいものか迷ったんだけどね。本人が行くって言うから……」









知的な眼鏡の奥の瞳を少しだけ悪戯っぽい色で染め、麻生は歩いてきた方向を振り返った。
そんな春樹の視線を追うように、一同はその視線を先を見つめると……









「ミルキちゃん、余計なコト言うなよ!」
「あら、私は本当のことを言っただけよ?」









ったく、とばかりに少しだけ不機嫌な表情をしながら現れたのは、花見の席には似つかわしくない派手な衣装と明るい髪を纏った少年だった。









「え?……ふ、不破君!?」
「……どうも」









お互い顔見知りだからだろうか、尚は緒方に向かってペコリと頭を下げて挨拶をした。
一見、傍若無人に見える尚も、この業界で生きている人間だけに、それなりの礼儀は弁えているようだ。

挨拶を済ませた尚は、ちらりと目を緒方を囲う面々に向け、営業用の人の良いスマイルを向けると誰かを探すように視線を彷徨わせた。
その視線に気がついたのはこのメンバーの中でも、緒方と同じくらい尚に関わりがあった逸美だった。









「あの〜〜不破さん?もしかして京子ちゃん探しています?」
「あ〜〜〜、アイツいるの?姿見えないようだけど」









一瞬否定するのかと思われるような返事をしつつも、姿が見えないキョーコをやはり探していた尚は、声をかけた逸美に向かって思ったそのままの言葉を返した。









「京子ちゃんなら、多分あっち側にいると思います。何でも“ラブミー部”のお仕事があるって言っていたので」
「……ふーん、そっか。ありがと」
「い、いえ……」









にっこりと尚に微笑まれ、逸美はとんでもないとばかりに手を振りながらにっこりと微笑で返した。
そして尚は周囲を見渡すように視線を巡らせた。
そんな尚の背後から軽い足音が近づいてきた。









「もう〜〜〜尚ちゃぁああん、置いていかないでぇえええ」
「一人でさっさと行っちゃうんだから……まったく」









甲高い甘ったるいような少女の声と、色香漂う大人の女性の声。
聞こえてくる気配と声を振り返ると、尚は小さく溜息を吐いた。









「あぁ、悪かった。ポチリ、祥子さん」
「尚ちゃん!」









本当にすまないと思っているのか甚だ疑問な不遜な態度だったが、尚の名前を甘ったるく呼びながら、その腕に自分の腕を絡ませたポチリこと七倉美森と、息を軽く弾ませながら「仕方がないわね」と呆れ顔をしている安芸祥子が現れた。









「ホントにもう置いていかないでね?尚ちゃん!」
「あー、わかったわかった」









絶対に分かっていないだろう適当な返事をしながらも、尚は膨れっ面をしている美森を宥めるように頭をポンポンと撫でていた。
尚に頭を撫でられている美森は幸せそうな笑顔を浮かべながらも、一度絡ませた腕は離すつもりはないようで、更にぎゅっと尚の腕を抱きしめていた。

美森のそんな行動に対して特に何も言わなかった尚だが、何かに気がついたようにまた辺りを伺いはじめた。









「アイツ………まさか、あの野郎と一緒にいるんじゃねぇだろうなぁ」









腹立たしいとばかりに呟かれた言葉は、すぐそばで尚にくっついている美森にだけ聞こえ、美森は何のことだろうかと首を傾げて尚に尋ねるが、尚はその質問に答えない上に美森の顔を一度も見ることなく周囲を見回していた。

尚はキョーコが“あの野郎”と一緒にいるのではと危惧していたのだが、それはどうやら彼の杞憂に終わったらしい。
とも言うのも、尚がキョーコの姿をその目で見つけたからだ。











































NEXT→Scene.6 その言葉の意味



















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【あとがき】




DARKMOONメンバーとアカトキメンバーですv
さてお次はラブミー部の二人に戻ります!
その後に出てくるのは……


どうぞお楽しみにw






作成 2008/03/29
更新 2008/04/04



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