【ひらり、ひらりと】










〜 Scene.9 凶暴凶悪なライオン 〜



























「大丈夫?最上さん」
「敦賀さん」









キョーコの背後に立って、その肩を両手で支えている蓮は、キョーコに向かってこれ以上ないくらいに優しく微笑んだ。
蓮の微笑を見たキョーコは緊張から開放されたのか、ほうっと心底安心したように顔を綻ばせた。









キョーコにいつでも絶対の自信と勇気をくれる存在。それが蓮である。









蓮はキョーコの安堵した顔を見て安心したのか、キョーコの肩に乗せた手をそのままに、目の前で繰り広げられている状況に視線を移した。
その視線は、先程まで甘く微笑んでいた男と同一人物とは思えない程に冷めた鋭利な瞳だった。
蓮は、尚を一度一瞥しながらも、尚と相対している銀髪の男を見据えた。









「彼女には二度と近づくな………と言った筈だけど?」









底冷えがするかと思える蓮の声がしんと静まり返った辺りに確かに響き、レイノはざっと蓮の鋭い視線から逃げるように半歩ほど後ずさった。









「相変わらず凶暴凶悪なライオンだな。………覚えている。別に俺から近寄ったわけじゃない」
「………」









そんなレイノの返答にも、蓮は眉ひとつ動かすことはなくただじっと相手を見つめる。
それが無言のプレッシャーになるのか、相対しているレイノは尚には見せなかった焦りに似た表情を浮かべた。









「アンタを敵に回すほど俺は浅はかじゃない。アンタみたいな凶悪なヤツを相手できるほど俺は頑丈じゃないんだ」









皮肉を篭めた物言いだったが、レイノは本気で蓮を敵に回そうとは思っていないらしく、蓮の射るような視線からさり気なく目を逸らしキョーコに向き直った。
レイノの視線が自分に移ったことを感じたキョーコは、ビクリと身体を震わせるが肩に感じる温もりが、それに耐えうるだけの勇気を与えていたので、キッとレイノを睨みあげた。
だが、そんなキョーコに構うことなく、レイノはキョーコの作業着のポケットをじっと見つめた。









「キョーコ。お前まだ“あの石”捨ててないだろう?」
「なっ!?うるさいわね!アレは大事なものなの!捨てるもんですかっ!!」









どうして捨ててないと分かるのか疑問に思いつつも、キョーコは一気に頭に血がのぼり、くわっと顔を大きく歪ませてレイノに向かって叫んだ。









「変な死に方したくなかったら捨てろ。言っただろう?アレは前の持ち主の負の念が強すぎてこの俺が打ち捨てるほど禍々しいと」
「禍々しいのはアンタの方でしょうが!?コーンのこと悪く言わないで!!!」









大切なお守りを捨てられるわけはないとキョーコが強く宣言すると、レイノはその眉をあからさまに顰めた。









「“コーン”?………違うだろう?」
「何が違うのよ!?」
「“コーン”と聞こえただけだろう?ソイツは……」









クスっと薄笑いを浮かべて悠然と言葉を続けようとしたレイノが突然ビクリと肩を揺らせた。
蓮がこの上ない冷徹な瞳でレイノを見据えていたからだ。
だが、その表情も瞬きひとつの間に優しいものに変わり、蓮はキョーコの顔を覗きこむように身を少しだけ屈めた。









「“コーン”だよ。………ね?最上さん」
「は、はい!」









蓮の言葉にキョーコは強く頷き、他に何を言われようが関係ないとばかりに、もう一度レイノに向き直り強い視線を送った。









「俺は忠告したからな。まぁ好きにすればいい」
「好きにするわよ!」









レイノは「絶対に言うことなんか聞かないんだから」と続けたキョーコを見て、そのキョーコの肩に手を置いている蓮を一瞥してその身を翻した。
そして顔だけを二人に向けた。









「そんなに昔から深くて広い縄張り張って、アンタはどうしたいんだろうな?
 ま、俺には関係ないことだが。………アンタら面白いよ」









レイノはそれだけ言い残すと、他のメンバーを連れてさっさと立ち去っていった。












































NEXT→Scene.10 意味深な台詞



















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【あとがき】




真打登場です!長かった……

とりあえず今日更新した(拍手の方)お話でストックは消化しました(汗)
あとは気まぐれに更新します!
なるべく日が空かないようには気をつけたいと思いますが、
ちょっと色々立て込んでいるので、おいおいということで。


でもこれでようやく蓮キョが書けるので嬉しいv


他のキャラのその後も書くので、もう少しだけお付き合いくださいませ!


では、次回もどうぞお楽しみにw






作成 2008/04/02
更新 2008/04/08



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