【ひらり、ひらりと】










〜 Scene.10 意味深な台詞 〜



























その背を何となく見ていたキョーコは、レイノが残していった言葉を無意識に反芻していた。









「“昔から”………“昔から”って何?」









キョーコの口から零れた疑問の音を聞いていた蓮は、少しだけ影を落としたような表情を浮かべたがすぐにその色を落とし、キョーコの肩に乗せていた両手をそっと離した。
蓮の温もりが離れたことに気がついたキョーコは、ハッと振り返り蓮の顔を見上げた。









「あの、敦賀さん!どうもありがとうございます!」
「俺はお礼言われるようなこと何もしてないよ?」









どんな時でも礼儀を通すキョーコは、頭を深く下げ、勢いよく顔をあげてもう一度蓮を見つめた。

「そんなことないです。前も言いましたけど、敦賀さんの存在は私に勇気と自信をくれるんです!










 敦賀さんがそばにいてくれるだけで何にも負ける気がしない………だから」









聞きようによっては“告白”のように聞こえなくもないキョーコの台詞にフリーズしたのは、キョーコと蓮の様子を取り囲んでいるギャラリーの方だった。










特に尚と光は相当の衝撃を受けたらしく、尚は目を見開き、光は卒倒しかけていた。

奏江は「私、何も聞いてないわよ!?」とばかりに唐突過ぎる展開についていけず
奏江の隣の飛鷹は「もしかしてあの男が黒い悪魔の親分なのか」と邪推し
「あの最上君が蓮に!?」と椹は口をあんぐりと開け
「本命は敦賀君だったの!?」と緒方はかつて自分がした予想を振り返り
逸美は顔を真っ赤にしながら「やっぱり京子ちゃん、そうだったのね」と熱くなった顔を押さえ
「あの“未緒”が“嘉月”に!?」と配役で考えるDARKMOON共演者
「え?キョーコ(京子)ちゃんと敦賀蓮ってそうなの!?」と祥子と麻生は意外そうに頷いた。









そして、そんな台詞を言われた蓮がどうするかと全員が固唾を呑んで見守るのだが……









「そう………」









顔色一つ変えない予想外ともいえるほど淡白な反応に、一同は肩がずれ落ちそうになるのを何とか堪えたようだった。
一般的にも誰にも知られていないが、“無表情で固まる”これが蓮の動揺した時の反応なのだ。
それを知らない一同は、「さすが敦賀蓮。この程度の台詞では眉ひとつ動かない」と評したのだが、それも次の蓮の言動によって覆されたのだった。









「ところで、何もされなかった?大丈夫?」
「はい、大丈夫です!何もされていません」
「それなら良かった。あの時、俺が君を守ると言っておきながら“間に合いませんでした”じゃ洒落にならないからね」









周囲に他の人間がいることをすっかり忘れているのか、天然なのか分からないが、蓮はさらりとそう告げる。
先程と同様にその台詞に強い反応を見せたのは、その周囲の人間達である。









間近にそんな台詞を聞いた尚は「あの時って何だ?あの時って何なんだ!?」と頭の中で何度も自分の声が木霊し
光は「よりによって敦賀蓮がライバルなんて有り得ない」と意識が飛ばされるほど真っ白になり
「一体何がどうなってるのよ!?」と奏江は混乱し
「アレが大魔王でアイツが悪魔の手先なんだな」と珍回答を弾き出す飛鷹
「れ、れれれ、蓮が!あの蓮が!?」とパニックのあまり口を大きく開いたままフリーズした椹
「うわぁ〜〜やっぱり敦賀君はそうなんだ〜〜」と緒方はドキドキしながら見守り
その隣の逸美は、蓮のキョーコに対する微笑みに顔を真っ赤にしつつ、そろりと二人を見守り
「「「やけに仲がいいとは、撮影当初から思ってはいたけど!!!?」」」とDARKMOON関係一同は驚愕し
「あの敦賀蓮が!?キョーコ(京子)ちゃんを!?」と祥子と麻生は唖然とした









そんな周りにお構いなしにキョーコと蓮は自分達のペースを貫き通していた。









「敦賀さん。お仕事早く終わったんですね。
 昨日のお電話で“明日行けるのは23時過ぎくらい”とおっしゃられていたのでびっくりしました」
「昨日は遅くに電話してごめんね。とりあえず、何とか間に合ったよ。ところでどうしてピンクツナギ着てるの?」









ここで周囲の人間達が“夜遅くに電話し合う様な仲なのか!!!?”と“驚愕其の三”を体験したことは、言わずとも理解していただけたかと思うので各々の心情については、特に突っ込まないでおこうと思う。









「もちろんラブミー部の仕事です。来訪者のお出迎えや料理やお酒の運搬……まぁ、雑用です」
「こんな重そうな酒樽を君が持つの?」
「はい。そうですよ………って、いけない!これを早く持っていかなきゃ!すっかり忘れてた!!」









すっかり仕事を忘れていたキョーコは、慌てて酒樽に手をかけたのだが、次の瞬間、酒樽はキョーコの手から大きな長い指を持った手によって取り上げられてしまった。









「え?つ、敦賀さん!?」
「これは女のコの仕事じゃないよ。俺が持つから……どこに持っていけばいいの?」
「だ、ダメです!私持ちますよ!これはラブミー部の仕事なんですから!」
「そうくるか……それじゃ仕方がない。こうしようか?」









蓮はキョーコに向かって綺麗ににっこりと微笑んだ。
意味ありげな蓮の笑顔に、キョーコは一瞬顔を引き攣らせたが、何とか表情を戻す。









「ラブミー部への依頼。“この作業を手伝わせて”………はい、これでお仕事成立だね」
「あ、貴方って人は〜〜〜〜〜〜!!!」









綺麗過ぎる蓮の笑顔と言葉に完全にしてやられたキョーコは、さっさと酒樽を持って歩き出した蓮の後を追う。

尚は二人の後を追おうとしたのだが、美森に腕を掴まれそのまま成し崩し的にどこかへ連行され、その後を麻生と祥子が追った。
光はショックのあまり念仏を唱えるが如くぶつぶつと何やら呟いていたのだが、成果はどうだったのかと探しにきた他のメンバー二人の顔を見た途端「失恋確定だ〜〜〜〜」と泣きを見せた。

奏江の隣の飛鷹については、この後のお話で語ることにして、緒方や逸美を含むDARKMOONのメンバーは元の場所へと引き上げていき、その後は“嘉月”と“未緒”について大盛り上がりを見せた。
次々と引き上げていく中で、椹は実は蓮の後ろにいた社に一体どうなっているのかと詰め寄ったのだった。













































NEXT→Scene.11 立派な男気



















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【あとがき】




どこまでもマイペースな蓮さん&キョーコちゃんvv
こういうのもアリかと思い、このような展開に★

次のお話は飛鷹君とモー子さんですvv


では、次回もどうぞお楽しみにw






作成 2008/04/02
更新 2008/04/09



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